ああ、もののあわれ。


こんにちは。

会社から少し歩いたところにある桜並木はすっかり葉桜になりました。
降ってくるのは花びらから花柄へ。重量感が増したせいでピシピシ当たって痛い…。

子供のころ競技かるたをしていた時期がありました。
クラス担任の先生が嗜んでおられ、時間割のレクリエーションの時間はほぼかるたに費やすという小学生にはやや渋い学級でしたが、私個人はなかなか楽しんでいてその後も数年かるた会に顔を出したり大会に出場したりしていました。
小学生に「もののあわれ」やインテリの言葉遊びなどもちろん理解できるはずがなく、ただただゲーム性が気に入ってのことですが。
それでも子供ながらに歌の語感やら題材やら、坊主かそうじゃないかやら…そんな理由でお気に入りの札を作って、「この札だけは絶対取るぞ」と意気込んだものです。

生徒の中で一番人気があったのが九番小野小町でした。
『花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに』
絶世の美女が恋に耽っている間に年を取ってしまったことを景色を眺めながら嘆く歌です。

ここでいう花は「桜」のことですが、平安時代の人たちは梅の花に春が来る喜びを、桜の花に散る儚さを感じることが多かったよう。
満開になった花を見ながら散る瞬間を想像するという、もののあわれ。
これからさらに暖かくなるし、つつじ、あじさい、という具合に季節の花もどんどん咲くし、桜が散っても楽しいことたくさんあるよっ!と思いつつ、竹ぼうきで花柄を必死に掃除するご近所さんを見るとしみじみと労いの感情が浮かんできます。
ああ、もののあわれ。

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