能登でイメージを覆される旅(前)



室内で働いていると季節の変化に鈍感になりがち。
少しでも秋を感じられればと思い、栗柄のお弁当包みを用意してみました。
しばらくの間この過ごしやすい気候が続けばいいのだけれど。

プライベートの話ですが能登半島へ行ってきました。
能登といえば輪島塗などの伝統工芸と荒々しい海から採れる美味しい海の幸のイメージ。
太平洋の沿いの浜で凪いだ海を眺めながら育ってきた身としては、厚く覆われた灰色の雲の下日本海のダイナミックな波の打ち寄せは火曜サスのクライマックスを連想するドラマチックな光景で、一度は見てみたいと思っていました。



蓋を開けてみればたっぷりした雲が浮かぶ夏のような快晴で波も多少高いような…?と思う程度の想像より大変穏やかな風景が広がっていました。
想像していたのとちょっと…いえ、旅行者の身としては大変有難い気候なんですけども。
それでも雄大に回る風力発電の翼や松が生える岸壁は日本海ならではの光景でした。



しばしの間海を眺めていたら、一羽のカモメがばさりと飛んでいきました。
大変絵になる光景。
うっとりしてたら近くの岩場で一休みしてました。うん、鳥も人間も休養は必要だよね。


想像と違うと言えば、能登のキリコを皆さんはご存知ですか?
私がキリコと聞いて想像したのは江戸切子や薩摩切子のようなガラスの工芸品です。
繊細な柄と緻密な手仕事でキラキラ輝く切子細工は以前から憧れており、そのグラスはぜひとも欲しいけれど中々手の届かない高根の花。
輪島市にあるキリコ会館に行くといわれた時、思わず勇み足になりました。
こうしてキリコを見ることができるのもご縁。よーし、とっておきの逸品買っちゃうぞ!
しかし意気込んでいたら即座に否定されました。

「いえ、全く違いますから。」

そう言われて会館で見たキリコは確かに全く違いました。



どーん!!




大迫力…。


能登で「キリコ」といえば「切籠」、和紙張りの灯籠のことを指し能登半島の各地域の祭りで担がれる由緒正しい代物でした。
地域により差がありますが、大きいものだと4階建てのビルくらいあるんだとか。
全く知りませんでした。ガラスの伝統工芸を想像した自分恥ずかしい…。


表側には漢字三文字で願いが願いが込められ、裏側には龍や鬼の絵が描かれています。
ひとつひとつ漆塗が施され華やかな彫刻と飾り金具で装飾されたキリコがずらりと並んだ様は壮観。
見れば見るほど素晴らしい能登の伝統を感じることができました。

キリコ会館で見られるのは引退したキリコたち。
お祭りのほとんどが7月から9月にかけて行われるので10月に現役のキリコを見るのは難しいのですが、運よく珠洲市の海沿いの道路で秋祭りに使われるキリコを見ることができました。
とても得した気分です。



珠洲市の海沿いで見られたのはキリコだけではなく、揚げ浜塩田もたくさんあります。
海から海水を崖上まで汲んできて、均された砂の上にその海水を巻くことで濃度の高い海水を作っていく江戸時代から行われる伝統的な製塩方法で、味は機械で作ったものよりまろやかなんだそう。
もちろん試してみないわけにはいきません。




塩アイスを賞味いたしました。
ミルク味の中に塩のパンチが効いたアイス。
美味しく頂きました。ごちそうさまです。



次も少しだけ能登のお話しをしようかと思います。




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